週刊ラグドールラグドールは可愛いのか? 特別号

2026年9月25日発行 第1号定価:のびしろ

検証

【検証】猫界の犬、トイレまでついて来る

2026年9月25日・週刊ラグドール取材班

トイレのドアを閉めた瞬間、向こうで「ニャ」と言われる。開けたら座って待っている。ラグドールは猫界の犬で、トイレにもお風呂にもついて来るらしい。人間のプライバシーはどこへ行ったのか。取材班はドアの前で張り込んだ。

ウワサ

Xやペット系ニュースでは、ラグドールの飼い主さんが「どこへ行っても後ろにいる」「トイレの前で出待ちされる」と投稿して、よく話題になる。ついたあだ名が「猫界の犬」「ストーカー」。

ニュースでも、生後4カ月のラグドールが飼い主さんの長風呂をドアの外から見張っていた話が紹介されている(Yahoo!ニュース/ねこのきもち)。家の中ではトイレでもどこでもついて来る子だそうだ。見張りの目つきが完全に「まだ?」である。

ウワサをまとめるとこうなる。

  • ラグドールは犬みたいに飼い主について回る
  • トイレまでついて来るのはラグドールならでは

前半と後半、どっちが本当なのか分けて調べた。

取材班が調べた

トイレについて来るのは「猫あるある」だった

まず衝撃の数字から。ねこのきもちが2026年3月にアプリで行ったアンケート(回答180人)では、飼い主のトイレやお風呂に猫がついて来ると答えた人が約9割だった(ねこのきもちWEB MAGAZINE)。品種の限定はない。

つまりトイレの出待ちは、ラグドールの専売特許ではない。猫という生き物がだいたいやる。ラグドールだけが犬なのではなく、猫の多くが少し犬なのかもしれない。

ついて来る理由は「好き」と「気になる」

同じ記事で獣医師が挙げている理由は、ざっくり言うとこのあたり。

考えられる理由 取材班の雑な訳
飼い主と一緒にいたい 好きだから
かまってほしい 座ってるなら今がチャンス
何をしているか気になる 中で何してんの
水の音が気になる ジャーって何
いつも閉まっている場所だから 開かずの扉が開いた

甘えん坊な猫や好奇心の強い猫に見られやすい、とも書かれている。トイレの人間は逃げないし座っているので、猫からすると確実につかまえられる相手なのだろう。

ラグドールは「ついて回る」と説明されがち

品種の説明を見ると、たしかにそう書いてある。CFA(アメリカの猫の登録団体)の品種紹介では、愛情深いけれど要求はしつこくない猫、という紹介のされ方をしている(CFA)。ロイヤルカナンの品種ページには、飼い主について回る・玄関で出迎えるなど、犬のようなふるまいが特徴として載っている(ロイヤルカナン)。

ただしこれは「そういう傾向があると言われる」という品種の説明で、全頭がそうだという保証書ではない。

研究では「人にべったり」とは限らない話も

ここで話がややこしくなる。フィンランドの研究チームが、40品種・約5,700匹の猫について飼い主アンケートを分析した論文がある(Salonen ら 2019)。ラグドールは357匹が分析に入っている。

研究者はラグドールを「落ち着いた品種」と紹介したうえで、ラグドールでは活動量と人への接触の求めやすさが遺伝的に連動しているという結果を出した。そして、落ち着いた猫を選んで繁殖していくと、人にあまり寄ってこない猫も一緒に選ばれてしまう可能性がある、と考察している。論文では、ブラッシングなどのお世話がしやすい、動きの少ない猫を好んで残してきた副作用かもしれない、とまで書かれている。あくまで仮説だが、「ラグドールなら全員べったり」という話とはちょっと違う。

要するに、ついて回る子もいれば、ソファから一歩も動かずに目だけで飼い主を追う子もいる。どちらもラグドールである。

判定

判定:個体差。

トイレについて来るのは本当によくある。ただしそれは猫全体で約9割という話で、ラグドールだけの特技ではない。ラグドールが「ついて回る」と言われるのは品種の説明としてはよく見るが、研究を見ると人へのべったり度はばらつきがありそうだ。

うちの子がついて来ないからといって、ラグドールとしてハズレなわけではない。ついて来る子は、ラグドールだからというより、その子が飼い主を好きで、トイレに興味があるだけである。そしてドアの前で出待ちしている猫は、品種に関係なく全員かわいい。これは取材班の偏見だ。

関連して、「ぬいぐるみなのに抱っこ拒否」問題はこちらの検証でやっている。

飼い主向けメモ

  • トイレやお風呂について来るだけなら、基本は心配いらない。閉め出して鳴くなら、出たあとに少し遊ぶと満足しやすい
  • お風呂場に入れるなら、浴槽に水をためたままにしない。落ちると危ない
  • 留守番中の粗相、物を壊す、体をなめすぎて毛が薄くなる、外出の気配で落ち着かなくなる、といったサインがそろうときは分離不安のこともある。行動に詳しい獣医師に相談を(PETOKOTO)
  • 急に後追いが増えた、逆に急に寄ってこなくなったなど、いつもと様子が違うときは体調不良のこともあるので、ほかの変化もあわせて動物病院で相談を
  • ついて来ない子を無理に「犬化」させようとしなくていい。距離感も個性

なお取材班が張り込んだ結果、トイレの前で待っていたのは猫ではなく、順番待ちの家族だった。

取材班が見た資料

※性格や体の特徴には個体差があります。健康について気になるときは、動物病院に相談してください。

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