「うちのラグドールです」と写真を見せたら「サイベリアン?」と言われた。別の人には「ヒマラヤン?」と言われた。三人目には「シャム?」と言われた。
もう何の猫なのか本人もわからない。取材班、そっくりさんたちを一列に並べて、品種の基準書(スタンダード)で面通しをすることにした。
ウワサ
検索候補には「ラグドール 似てる猫」「ラグドール サイベリアン 違い」「ラグドール ラガマフィン 違い」「ラグドール ノルウェージャン 違い」がずらり。SNSでも「ラグドールだと思ったら別の猫種だった」「どっちかわからん」という話はよく出てくる。
大きい、長毛、ふわふわ、顔の先だけ色が濃い。このあたりの特徴がかぶる猫が何種類もいるので、間違えられるのはある意味しかたない。
取材班が調べた
まず基準となるラグドール本人のプロフィール。CFAの基準では、目は青だけ、全身が「ポイント」(顔・耳・足・しっぽの色が濃い)で、そこに白が入る模様(ミテッド、バイカラーなど)がある。毛はたっぷり長いが、もこもこの下毛は少なめで、手ざわりはさらっとしている。顔は大きめの三角形で、鼻はまっすぐ。ここを物差しにする。
ラガマフィン:親戚。でも目の色が自由
ラガマフィンは、ラグドールの誕生秘話で出てくるIRCAのブリーダーたちが1994年に独立して育てた猫種。親戚なので体つきや雰囲気はかなり似ている。
違いは色と目。ラグドールはポイント柄と青い目が決まりだが、ラガマフィンはいろいろな毛色・柄があり、目の色も自由(左右で違う色もOK)。CFAでは、ポイント柄のラガマフィンは繁殖用で、ショーには出られない扱いになっている。目はクルミのような丸っこい形とされる。ポイント柄じゃない、または目が青くないなら、ラグドールではない可能性が高い。
サイベリアンとネヴァマスカレード:最大のそっくりさん
サイベリアンはロシア生まれの大型の長毛種。ふつうのサイベリアンは目が緑や金色なので見分けやすい。やっかいなのは、ポイント柄で目が青いタイプ。FIFe(欧州の猫登録団体)ではこれをネヴァマスカレードという別の品種として2011年に公認している(ほかの団体ではサイベリアンのポイント柄として扱うことが多い)。
見分けるなら毛をさわる。FIFeの基準では、サイベリアン系の毛は下毛がとても密で、上毛は水をはじき、少しかための手ざわり。耳の先に飾り毛があることも多い。ラグドールのさらさらで下毛が少ない毛とは、さわると違う。
ヒマラヤン:顔がぜんぜん違う
ポイント柄に青い目。ここまではラグドールと同じ。でもCFAでは、ヒマラヤンはペルシャ猫の中の1グループという扱いで、体はペルシャそのもの。鼻が短くて顔が平ら、頭はまんまる、体はずんぐりで足は短め。正面から顔を見れば一発でわかる。
バーマン:白い靴下の履き方が違う
バーマンもポイント柄で目が青く、ラグドールのミテッド(足先が白い模様)とかなり似ている。見分けどころは足と顔。バーマンは4本の足先すべてに白い「手袋」があるのが最大の特徴で、目はほぼ丸く、鼻は少しふくらんだローマ鼻。ラグドールのミテッドはあごが白く、おなかに白いラインが通るのが決まりで、後ろ足の白はかかとの上まで上がる。
シャム:毛が短い
ポイント柄と青い目はシャムが元祖みたいなもの。ただしシャムは短毛で、体はすらっと細長く、顔は鋭いくさび形。長毛でどっしりしたラグドールとはシルエットが違う。子猫でまだ毛が短い時期は迷うかも。
ノルウェージャン、メインクーン:ポイント柄がない
どちらも大型の長毛種で、ふわふわ具合と大きさでよく比べられる。でもCFAの基準では、どちらもポイント柄は認められていない。目の色も緑、金色、銅色などが基本(白い猫などを除く)。ノルウェージャンは顔が正三角形で鼻筋がまっすぐ、防水の二重の毛。メインクーンは耳の飾り毛と、長さが不ぞろいなワイルドな毛並みが目印だ。
ちなみに取材班、見分けるためにノルウェージャンとメインクーンの動画を見ていたら、途中から見分けるのを忘れて普通に見入っていた。ラグドールにハマると、ほかの長毛さんまで好きになる。これはもう、そういう沼なのだと思う。
| 猫種 |
ポイント柄 |
目の色 |
見分けどころ |
| ラグドール |
必ずあり |
青のみ |
下毛少なめでさらさら、鼻まっすぐ |
| ラガマフィン |
基本はポイント以外 |
いろいろ |
目が丸い、毛色が自由 |
| ネヴァマスカレード |
あり |
青 |
下毛が密、毛がややかため |
| ヒマラヤン |
あり |
青 |
鼻が短く顔が平ら、足が短め |
| バーマン |
あり |
青 |
4本足すべて白い手袋、丸い目 |
| シャム |
あり |
青 |
短毛、細身、くさび形の顔 |
| ノルウェージャン |
なし |
緑・金など |
正三角形の顔、防水の二重毛 |
| メインクーン |
なし |
緑・金・銅など |
耳の飾り毛、不ぞろいな長毛 |
(基準は団体によって細かく違う。表はCFAとFIFeの基準をもとにした目安)
判定
判定:わりとホント。ぱっと見で間違えられるのは本当。特にネヴァマスカレードとバーマンは、写真1枚だとかなり迷うくらい似ている。
ただ、品種の基準を読むと違いははっきりしていて、「ポイント柄か」「目は青いか」「毛の手ざわり」「顔の形」の4点でだいぶ絞れる。それでも最後に品種を決めるのは見た目ではなく血統書。ミックスの猫や、基準からはずれた見た目の子もふつうにいる。どの猫もそれぞれにいい猫なので、見た目当てクイズは当たっても外れても平和にいこう。並べて比べ始めた時点で、全員かわいいのは確定しているので。
飼い主向けメモ
- 品種を確かめたいときは、見た目より血統書(登録団体と猫種名)を見る
- 子猫は色も毛もまだ変わる途中。ラグドールは白く生まれて後から色が出るので、子猫の写真だけで判断しない
- ミックスの子は「〇〇っぽい」で十分。品種名にこだわらず、その子の性格と体を見る
- 毛の手ざわりが違えば、お手入れの手間も違う。下毛の多い猫はブラッシングの回数を増やす
- ラグドールの毛色の種類は毛色図鑑で
結論:そっくりさんは多いが、ラグドールを見分ける最終兵器は「床に置いたときの長さ」だと信じている。ただし根拠はない。